大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(ウ)367号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事実)

抗告人は靜岡地方裁判所沼津支部が抗告人所有の土地につき言渡した競落許可決定に対し即時抗告の申立をなし、抗告理由として次の通り主張した。即ち本件競売手続において不動産所有地の熱海市役所が靜岡地方裁判所沼津支部より本件競売期日の公告掲示嘱託書を受理したのは昭和二十六年十月三日で同市役所においては即日右競売公告書を掲示板に掲示したところ、偶々同年同月十五日熱海市内在住の者より右競売に関し照会があつたため、同市役所係員が掲示板に赴き調査したところ、右公告書はその頃同地方を襲つた暴風のため吹き飛ばされて紛失していることを発見し、回答することができなかつた。民事訴訟法の規定によれば競売期日の公告は引続き十四日間は必ず掲示してしかる後競売を実施すべきものであるのに、原裁判所はそのまま競売手続を施行したため、本件競売不動産中僅に五筆のみ競買申出人があつたに止り、しかもこの五筆の土地は本件不動産中郡を拔いて良好で温泉の湧出口もあり、国鉄熱海駅を起点とするケーブルカー建設に関し中枢地に位する重要なる土地が何らの競争者もなく最低競売価額で競落せらるる結果となり、抗告人は不測の損失を来すに至つた。右は明らかに競賣期日の公告掲示期間に関する民事訴訟法の規定に違反してなされた競落許可決定であるから、その取消を求めるというにある。

(判斷)

抗告棄却。その理由とするところは次の通りである。

競賣法による競賣において競賣期日の公告は、同法により準用される民事訴訟法第六百六十一条によれば、裁判所の掲示及び不動産所在地の市町村の掲示板に掲示してすることとされており、また同じく準用規定である民事訴訟法第六百五十九条第一項によれば、競賣期日は公告の日から少くとも十四日の後であることを要するのであつて、この趣旨は結局 利害関係人ないし一般人に対しあらかじめできるだけ広く一定期日に一定不動産の競賣が施行されることを知る機会を与えて、競賣の目的が遺憾なくとげられるようにするにあることをうかがうことができる。この裁判所及び市町村の掲示板に掲示してする公告の期間については、法律上特に定めたものはないけれども、右のような公告の目的から見て、競賣期日の十四日以前の一定時期に一回だけ掲示すれば足りるというものではなく、原則としては、掲示をはじめた時から競賣期日まで、少くとも十四日の期間は継続して掲示することを要するものと解するのを相当とする。本件において原審裁判所は昭和二十六年十月一日附で本件競賣期日を同月十八日午前十時と定め、即日競売期日の公告の掲示を熱海市役所に嘱託し、同市役所は同月三日これを市の掲示板に掲示したことは記録上明らかであるところ、抗告人提出の熱海市書記官補の証明書の記載によれば、右掲示は同月十五日暴風によつて吹き飛ばされて紛失したことが認められるから、右掲示のされた期間は十四日に満たないことはこれを肯定しなければならない。しかしながらこの僅かの期間における瑕疵があることによつて、直ちに適法な公告がなかつたものとしなければならないものと解することはできない。本件の右公告は少くとも同月三日から同月十五日頃までは引続き掲示されていたものと認むべきものであり、同月十八日午前十時の競売期日には競買人参集の上目的不動産のうち五筆については それぞれ競買人から最低競売価額若しくはそれ以上の価額による競買の申出があり、それらを最高価競買人として手続を終つたことは記録上明らかであつて、他に特段の事情の見るべきものがないから、結局右公告掲示期間の一両日の不足は競売の結果に影響を及ぼしたものとはいい難く、従つて本件公告は公告としての前示目的を満たしているものと解してさしつかえないというべきであるから、右の程度の瑕疵があることを以て本件競落不許の原因とするにはあたらない。

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